2018年2月23日金曜日

日本におけるカレル・チャペックの受容(覚書2)

K・チャペックの童話(中野好夫訳)は戦前に新潮社より刊行された二つの小学生向けの読本に収録されている。ひとつは、山本有三によって編集された『世界名作選』(1936年)、もうひとつは文豪島崎藤村が編集した『西洋文学選』(1940年)である。興味深いことに、装幀はいずれも恩地幸四郎が担当している。
 
 

日本におけるカレル・チャペックの受容(覚書1)

カレル・チャペックは劇作家として、小説家として、優れた随筆家として戦前から、すなわち作家の生前から日本で知られていたが、その作品はかつて国定の国語教科書にも収録されていたこと、皆さんご存知でしたか?


2018年2月16日金曜日

展示&トーク「変わらぬ原作、変わり続ける翻訳―― 日本とK・チャペックの文学」の予告

K・チャペックが亡くなったのは、第2 次世界大戦勃発の前夜、1938 年の12 月のことであり、2018 年は没後80 周年にあたる。チャペックの作品は、作家自身の生前から欧米に遅れること数年で日本でも盛んに翻訳され、戦前から21 世紀の今日にいたるまで数多くの読者に親しまれ、その人気は今もなお衰える気配がない。これは他国に類を見ない現象である。大正・昭和・平成に刊行されたチャペックの邦訳をみると、誰でもまずその数に驚かされるだろう。本展示は、約一世紀にもおよぶ、日本におけるチャペックの翻訳史を回顧し、チャペックの文学を日本の読者に届けた翻訳者にも光を当てる。年代順に並べられるチャペックの邦訳を追っていくと、どの時代にどのような翻訳が刊行されてきたのかを知るばかりではなく、チャペックの文学が日本でどのように認識されていたのか、時代にともなってその認識がどのように変わってきたのかということも読み取ることができる。限られたスペースではあるが、むかし愛読した本との思いもよらない再会、知らない本との新しい出会いがきっとここで待ち受けているだろう。